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ワイマールの想い出(映画編 パート2)

いつものようにコーヒーをすすっていると、突然ドイツ人の髪の長い男に声をかけられた。

「あの~、僕はバウハウス・ウニ(バウハウス建築大学)の学生で、今度の卒業制作で短編映画を撮影しないといけないんだ。それで、一人日本人の男性を捜しているんだけど、35歳くらいの人で知っている人いない?」

「どんな役をするの?」

「銀行員。」

とまあ、こんな感じで話が進んだ。もちろん、この時点ではそのドイツ人(以下、Aとする)は、僕からその“役”に見合った日本人を紹介してもらうのが目的で、僕に話しかけてきたわけだ。

「うん・・・・。わかった。捜してみるよ。」と僕は言い、彼は、

「ありがとう。また電話する。」と言ってその場を去っていった。

“日本語の環境”の中、日本語ばかりしゃべっていると、やはり、とっさにドイツ語でしゃべりかけられても、頭が混乱して応答に困ってしまう。

しかも、その頃の僕のドイツ語力といったら、2歳児のドイツ人の子供の方がはるかにしゃべれるほどのレベルであったので、ドイツ人がいきなりそうやって話しかけられただけで赤面してしまい、しどろもどろになってしまうのが常だった。

たとえそのような語学力であっても、スーパーで買い物は出来るし、学校でレッスンを受けられるし(ただし、込み入った話をされるとお手上げだが・・)、別にこれといって、不自由を感じることもなく生活はできてしまう。

その頃の僕も、“なるべくドイツ語を使わない生活”をモットーに、“日本人同士お互い手と手を取り合い頑張ろう!”状態で生活していたのだった。

数日たち、例のAから電話がかかってきた。

電話というのは嫌なもので、タダでさえしどろもどろのドイツ語が余計拍車をかけてしゃべれなくなる。

多くの外国人が同じ悩みを抱えていると思うが、外国語は面と向かってするほうが、見えない相手と会話するより、精神的に落ち着いて出来る。

それに、Aからの電話がかかってくるまで、こないだの話の事をすっかり忘れてしまっていて、かなり戸惑ってしまった。
「こないだの話なんだど・・・・・。誰かいた?」

「いるんだけど、その人は忙しくて出来ない。ごめんなさい。」

最初にAからMENSAで話しかけられたとき、とっさに浮かんだ日本人Iさんがいた。だが、彼はとても忙しくしていたし、どうせ話しても無駄と思い、その時点で諦めていた。

「それじゃ・・・・」と僕が電話を切ろうとしたとき、

「じゃ、君がやってよ!」とA。

「は?なに?」と日本語が飛び出しそうな勢いでビックリしてしまった。


<つづく>
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