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ワイマールの想い出(映画編 完結編)

“役者"のみならず、“アナウンサー”までするとは思いもしなかった。

マイクに向かって僕は“NHKアナウンサー”になった。

なぜ、ラジオ放送の音声が必要だったかと言うと、それは、あの寒い撮影のとき4人の男たちは、電車が来ないから暇をもてあまし、それぞれラジオを聴いていたのだった。

もちろん本当に聴いていたわけではない。ヘッドホンを耳にして、ラジオを聴いているように演技をしていただけなのだ。

あの寒さの中で日本から出張でやってきた銀行員は、それにしても駅のベンチで何を聴いていたのだろうか?イギリス人は英語放送、ロシア人=ロシア語放送、ペルー人=スペイン語放送をそれぞれ聴いていたらしいが、どんな内容の放送だったか、知らない。

この日本人は“銀行員”であったため、凍える寒さの中ですら、仕事人根性で、株価、為替の動きなどを熱心に聴いていた(らしい)。もちろんそれらの放送は入手出来なかったため、僕自身がそれらの原稿を考え、ほとんどアドリブでマイクに向かって、こう言った。

僕:「午前7時のNHKニュースをお伝えします。」

僕:「今日の午前の日経平均株価は・・・・円、円相場は一ドル・・・・円となっております。・・・・」

まるで、戦後すぐのニュースのアナウンサーのように抑揚をつけず、平たく淡々としゃべった。

それから何ヶ月か経ち、この撮影のことも記憶から薄れてきつつあったころ、監督A君が僕に出来上がったビデオをくれた。その前の日に出演者、友達、その他大勢を招いてAの家で試写会があったのだが、僕は生憎、都合で欠席していた。

家に帰り、早速頂いたビデオを観た。タイトルが流れ、映画「DURCHFAHRT」の文字がくっきり浮かび上がった。

(おお~やるじゃん!)

そして、4人の男たちが駅のベンチで座っているシーンが映し出された。“横スクロール”でそれぞれ4人の男の顔がアップになる。

(んん!?今のはボクですか??なんだ、この無表情な人間は????ボク??)

そうなのだ。彼ら欧米人たちの中にいると、僕のアジア人の顔はとって~~~~も薄い!!!表情をつけて“高倉健”ばりに演技していたつもりだったのに、こんなにノッペラボウに映し出されるとは!!

しかし、どうしてだろう?彼ら欧米人は、何をやっても表情豊かに見える。同じ事がオペラにも言えるのだが、ここでは触れないことにする。映画自体の出来はどうであったのか、それは僕の主観的立場からいうと、「??」だったが、自分の姿がカメラを通して映し出される様がとても面白く、今から思えばとても“貴重な経験”であった。何人かの友人にも見せたが、その度に、あの時の寒さを思い出し、ゾクッとしてしまう。

春になり、僕はまたいつものようにMENSAに行き、いつものように友人らと日本語で語らっていた。いつも皆のために席を確保してくれているT君がボソッと、

「いやぁ~、俺、こんど卒業制作の映画に出ないといけないんっすよ。まったく何をするんっすかねぇ??」

僕がT君にニヤリとしたのは言うまでもない。

~Tよ。お前もか!~


<完>
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