最近大きな“買い物”をしました。ここ数年で一番大きな買い物です。
この何ヶ月間かこのことで毎日悩み続け、毎日夢に出てきてうなされ続け、
そろそろピアノの練習にも影響が出始めたので、
これを
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イタリア・エレクトラ社
レバー式エスプレッソマシーン
Elektra Micro Casa a Leva
買ってしまいました!!!
これを見て知っている方はかなりの“通”でしょう。これはイタリアの誇る、全てハンドメイドの美しいシルエットが印象的なエスプレッソマシーン“ELEKTRA エレクトラ”。
その姿はまるで“ロールスロイス”のよう。
エレクトラ社は1947年ヴェネチア近郊のトレヴィーゾ市で創業し、このモデルも創業当時から変わらずそのままのデザイン。
僕のコーヒー熱は今から遡る事、約20年前、高校生だった僕が後輩Mと共に、シックな大人のCafeに“生意気”にも通いつめた頃からである。
今ならもう時効なので、ここに打ち明けても構わないが、制服のままカウンターに座り、夜遅くまで自らが持参したJazzのCDをかけてもらって音楽について語ったものだった。
常連にしか出してもらえない“マイカップ”なるものがあって、僕も、その後輩Mもいつも同じカップでコーヒーを飲んでいた。
僕はRichard Ginoriのグリーンのカップ、彼はRoyal Copenhagenだったかな?
その頃から僕はコーヒーに対してとてもこだわるようになっていった。ただ、高価なエスプレッソマシーンは高校生の僕には勿論手が出なかった。。
「趣味は何ですか?」と尋ねられても「コーヒーを飲むことです」とは答えられない。
“飲むこと”は趣味ではない。それは“コーヒー好きな人”というだけのこと。
色々こだわって自分自身で入れるようになってから初めて趣味は”コーヒー”といえよう。
苦節20年(よう我慢したなぁ・・・)、ようやくこの日を迎えることができた。
ここ、ドイツでも日本でも有名なスターバックスや、ベルリンに多い(ベルリンしかない?)アインシュタインカフェなどで美味しいエスプレッソを飲めるようになったが、毎回外で飲むと結構そのお金は馬鹿にならない。
いつの日か自分でもこの味が出来たら・・・家でも美味しいカプチーノが飲めたら・・・なんて考えるようになり、更に追い討ちをかけるように、ミュンヘンの親友シュテファンが大のエスプレッソ・オタクと化し、毎日のようにメールで情報交換をしていくうちに、とうとう彼が念願のマシーンBrugnetti社のSimona TOP(ポンプ式)を購入、この事が僕のエスプレッソマシーン購入を決定的なものにした。
彼はマシーンを購入する前に奥さんのカトリンから誕生日プレゼントとして貰ったDemoka社のグラインダーM207を所有していた。
今年2月のミュンヘン・ガスタイクでのリサイタルの際、彼らの御宅で何度かそのグラインダーで挽いた新鮮な豆でドリップしたコーヒーを頂き、その美味しさに感動したものだった。グラインダーでこうも味が違うものなのか!!と。
その時はエスプレッソマシーンに関してほとんど無知だった。ずっと家にはデロンギ社のポンプ式エスプレッソマシーンがあったのだが、お店で飲むものとの差は歴然であった。
それから毎日のように、シュテファンは僕にエスプレッソマシーンの素晴らしさ説き、僕をオタクへとしていった。
さて、最初からエレクトラを購入しようと思ったわけではない。日本でも割りと有名な、これもイタリアの美しいエスプレッソマシーンであるLa Pavoniを買おうと思った。正確には半額以下で手に入るパヴォーニでも構わないと思った。でも僕がエスプレッソマシーンに興味を持ったきっかけというのがこの“エレクトラ”でをインターネットで見てから。
このレバー式はポンプ式と違い、綺麗なエスプレッソを入れれるようになるまで、かなりの熟練を要する。レバーの圧力のかけ具合、またコーヒー豆の挽き方、粉を詰める際のタンピングがポンプ式と比べて遥かに“微妙”なのである。しかし、その分、“自分らしさ”というものがある。常に同じクオリティーのエスプレッソを抽出するのはこのレバー式では無理であろう。
さて、このエレクトラさんとはベルリンのエスプレッソマシーン専門店で初対面し、実際に見てみて、はっきり言って“一目ぼれ”

。
その店には当初購入予定だったLa Pavoniのプロフェッショナルモデルもあってエレクトラさんと見比べたり、触り比べたりしたが、その造りの丁寧さ、質感、気品、センス、全てにおいてエレクトラが勝っていた。エレクトラさんと比べるとパヴォーニはおもちゃに見えた。。
比較的扱いの容易なポンプ式ではなく、このレバー式にあえてこだわったのは、どうせこの先ずっとエスプレッソを飲み続けるのだったら、この難しいものを極めてやろう、そして、自分の“エスプレッソ”を完成させよう、その方がずっと面白いではないか!とピアニストという職業上、そういう“厄介な物” “アーティストっぽい物”の方がはるかに魅力を感じたからであった。
今はまだまだ満足のいくショットを入れられていないが、きっとそのうち・・!!
写真はどこをとっても“お美しい”エレクトラさんの各パーツ。とくに気圧計が究極美!
川島基オフィシャルホームページwww.motoi-kawashima.com