
去年の今頃は気温も上がり、日差しも眩しく、ポカポカ陽気だったのに、今年はまだ冬の名残を引きずっているかのように肌寒い日々が続いています。日中も10度前後で夜は5度以下になります。
さて、先日は僕が去年あたりから急に注目するようになったロシアのピアニスト、ミヒャイル・プレトニョフのリサイタルがありました。彼の演奏で最初に「おっ!」と思ったのは、今から4~5年前?にリリースした彼のカーネギーホールライブのベートーヴェン・ピアノソナタ32番とバッハ=ブゾーニ・シャコンヌで、この演奏には度肝を抜かされましたが、他の演奏、例えばそのCDの二枚目のショパン・スケルツォ全4曲があまり好きなれず、やはり僕にとって彼は異質な不思議なピアニストでした。
彼は以前にベルリンで,僕の一番好きなラフマニノフ・ピアノ協奏曲3番を演奏し、その時の演奏もやはり??でしたが、何か奇をてらって、わざと作品を歪曲しているようにはどうしても聴こえず、「彼の目にはこの作品はそのように映っているからそんな演奏になるんだ。」と感じ、演奏後も不思議と消化不良を起したり、気分が悪くなったりはしませんでした。それはきっと彼が考え抜いた挙句、到達した世界であり、音楽であるからこそ、とてもそこに説得力が生まれ聴き手も彼の世界に引き込まれていくのでしょう。
今回のリサイタルもまさに彼独自の世界を創り上げていました。僕が求める音楽とは全然種類も方向も違うし、胸を張って「好き!」とも言えないけれど、“気になる”ピアニストであることは間違いありません。
数日たった今もリサイタル後半に演奏した、チャイコフスキーの「四季」の余韻に浸っています。